連載 くせものキーワード2・2
虐待
和田 忠志
1,2
1保健医療福祉のキーワード研究会
2あおぞら診療所
キーワード:
虐待
,
ドメスティックバイオレンス
,
DV
,
児童虐待
,
高齢者虐待
Keyword:
虐待
,
ドメスティックバイオレンス
,
DV
,
児童虐待
,
高齢者虐待
pp.406-411
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100143
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昨今,虐待問題がクローズアップされています。虐待の報道などを見ると,「こんなことがあるのだろうか」と感じられる方も多いと思いますが,実際には,虐待行為は人類の歴史ではありふれたものです。多くの動物は自分が食べる目的以外に他の生物を殺すことは少ないのですが,人間だけは自己の利益や思想,快楽などのために,多くの人間を虐待したり,売買したり,殺してきた歴史があります。
今なお,地球全体で見れば,戦争状態にある国や独裁国家などで,多くの人間が虐待され,殺されています。そのような歴史の中に私たちがいること,つまり,「人間とは他人を虐待しやすい存在」ということを認識する必要があります。
現在,日本で問題にされている主なものは,家庭や施設での,どちらかといえば弱い立場にある者への虐待であり,本稿でもそれを取り上げます。虐待の種類を大まかに分類すると,第一に親などの保護者による児童虐待,第二に男性配偶者等による女性への虐待,第三に高齢者虐待であり,基本的に家庭での虐待が注目されています。家庭は密室化しやすく,虐待が行なわれやすい素地があると,私のつたない経験からも,思います。また,施設内での虐待も施設が密室化した場合に生じやすいと言えましょう。その意味では,介護の社会化が進むことにより,虐待が少しでも少なくなることを期待したいと思います。
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