癌と駆けっこ・8
束の間の日常生活
刑部 慶子
pp.924-927
発行日 1986年8月1日
Published Date 1986/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661923083
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教会生活
洗礼を受けてからの教会生活はとても楽しかった.教会員20数名というこじんまりした教会だが,新しく受洗した私に対して皆,まるで古くからの知己のように優しかった.教会員同士は,イエス・キリストの名のもとに,お互いに“きょうだい”と呼び合っているのである.
また,洗礼を受けてから,〈クリスチャン新聞〉という週1回発行の新聞をとり始めた.その中でも末期癌患者さんのターミナル・ケアについての記事がよく載っていた.聖隷ホスピスや,淀川キリスト教病院などのキリスト教系の病院が行なっているケアを私は大いに興味をもって読んだ.癌に患っていなかったら,こういう記事にはほとんど目もくれなかったであろう私である.しかし,私も一度癌になった以上,最終的にはどこでどのような治療を受けて死んでいくのか,重大なことである.私も末期癌になってしまったら,いたずらに延命策を講じられるよりも,暖かい医師や看護婦さんに励まされながら,聖歌を歌ったり,牧師さんのお話を聞いたりして,心安らかに死んでいきたいものだと思う.そのためには肉体的苦痛はできるだけ取り除いてもらいたいと思う.
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