癌と駆けっこ・5
入院生活
刑部 慶子
pp.564-567
発行日 1986年5月1日
Published Date 1986/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921412
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不安と闘う日々
癌が怖いのか,それとも抗癌剤が怖いのか
抗癌剤治療を行なう度に吐き気に悩まされ,それが終わると白血球の減少,さらにピシバニールによる発熱という具合に1か月が繰り返される.
苦痛の連続の中で,何故私だけこんなに苦しまねばならないのかという疑問が浮かぶ.前世の因果か,今まで自分勝手に生きてきたことへの罰あたりだろうかとも考えたりする.親戚の人や友達がお守り札などを色々買って来てくれて,枕許に並べてある.こういう時は藁(わら)にもすがりたい心境だから,お札(ふだ)を枕の下に入れて眠れば御利益があるなどと言われるとその通りにする.
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