今月のニュース診断
人間のクローニングについて
加藤 秀一
1,2
1明治学院大学社会学部
2社会学・性現象論
pp.380-381
発行日 2001年5月25日
Published Date 2001/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902640
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クローン人間の予告
クローン羊のドリーが誕生して以降,今度は人間のクローニングが話題になってきた。新聞記事やTVのニュース特番などを見る限り,日本では否定的な論調が主流である。今年の6月に施行される法律によって正式に人間のクローニングが禁止されることに対しても,表立った反対意見は今のところほとんどないようだ。
だが,それは必ずしも世界的に確立したコンセンサスではない。最近になって,アメリカ合衆国などから,人間のクローンづくりを公然と予告する動きが出てきた。「米ケンタッキー大のパノス・ザボス教授(生殖生理学)は……不妊治療を目的に,イタリア人医師と協力して1,2年のうちにクローン人間を誕生させる計画を発表した」(朝日1月29日)。また,世界84か国に5万5千人の信者を持つ新興宗教団体「ラエリアン」の教祖は,生後10か月で死亡した男児の再生を願う両親からの寄付をもとに,「今年のクリスマスまでにはクローン技術で生まれた健やかな赤ちゃんをお見せできる」と豪語したという(朝日2月3日)。
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