特集 看護のプロセスを分析する
看護に生かすプロセスレコード—学生指導から看護研究まで
池野 栄子
1
1諏訪赤十字高等看護学校教務部
pp.266-272
発行日 1976年3月1日
Published Date 1976/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922575
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はじめに
看護の実際場面において,患者とのコミュニケーションのむずかしさはよく問題とされることであるが,そのむずかしさは,お互いに自己を持った人間であることと,目的の違いから発生する行動意識からくるものが,患者・看護婦をそれぞれ等距離で存立させているからであり,また単に患者—看護婦間のコミュニケーションの難しさとして解決できない複雑な問題を,それぞれが多方面においてかかえているからでもある.
臨床において,看護は基本的にはチームの仕事として成立している.しかしそれは‘対患者’と看護婦各個人との関係という意味合いを強くもった部分が全体をおおっており,各個人の経験や知識・技術が看護の仕事をそれぞれ異なったものとしている.その中で,適切な援助とはいったい何であるかは,看護に携わる者にとって大切な方程式である.そうした患者との接点を探すための一手段として,プロセスレコードの活用は重要な意味を持つものであると考える.その活用範囲は広くあると思われるが,日ごろ臨床場で活用されているなかで,
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