SCOPE
ゆっくりと浸透するデンマークショック—日本での交流を楽しむアンナ・ホルムさんを追う
pp.20-21
発行日 1989年1月1日
Published Date 1989/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922170
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本誌では昨年,52巻4号(「生き甲斐のある高齢期を求めて——デンマークからの報告」)および10号(「デンマークで見たこと,考えたこと」)の2回にわたってデンマークの高齢者福祉・医療について紹介してきた.なぜ,今デンマークなのかと詰問されると困ってしまうのだが,正直なところ,デンマークの紹介を精力的に日本に働きかけてくださっている伊東敬文氏(コペンハーゲン大学社会医学研究所主任研究員)の力に負うところが大きい.氏が母国日本で仕掛けたのは一種のショック療法.今や世界に名だたる金持ち国ニッポンの,その割には貧しすぎる老人福祉・医療の現状に,デンマークのそれを対置させることによって違いを際立たせ,「なぜ」という素朴な疑問を広範に呼び起こそうという作戦だ.
この作戦は徐々に実を結びつつある.ここ1年ほどの間に専門誌のみならず,テレビ,新聞,雑誌等を通して,デンマーク情報がずいぶん伝えられるようになってきた.1988年9月9日に朝日新聞東京本社の講堂で開かれたデンマーク福祉省・大使館,朝日新聞社の共催によるシンポジウム「安心できる老後」もその1つ.東京で開かれた世界リハビリテーション会議の出席を兼ねて来日中のデンマーク政府福祉大臣オーセ・オールセンさんと,西シェラン県立補助器具センター所長アンナ・ホルムさん,伊東敬文氏らが参加して熱い論議が繰り広げられた(詳しくは『AERA』No. 19,9月27日号を参照).
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