研究
クロロホルムによるGPT活性の阻害
畔柳 芳美
1
,
大山 貴美子
1
,
中山 年正
1
,
北村 元仕
1
1虎の門病院臨床化学検査部
pp.183-184
発行日 1975年2月15日
Published Date 1975/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908876
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はじめに
GPT(glutamic pyruvic transaminase)活性の日常検査の中で,基質溶液がなくなりがけるとプール血清の値がわずかではあるが低値となり,またバラツキが大きくなる,という現象が見られた.基質には,日本消化器病学会の指定1)に従ってクロロホルムが防腐剤として添加されており,試薬びんの底に液滴状に分布する.私たちはこのクロロホルムがGPT活性を妨害するのではないかと疑って検討を行ったところ,明らかな活性阻害と,その阻害の状況が試料によって異なり,ヒト血清では致命的な測定誤差につながりうるという成績が得られた.
現在,防腐剤の使用はわが国においてごく一般的であるが,クロロホルムをはじめ防腐剤による血清トランスアミナーゼの活性妨害については文献上にも全く知られていない.この現状は正常値の混乱や誤った臨床判断に導く危険を示すものといわなければならない.
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