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METAMEDICA—(メタメディカ)
吉田 忠
1
1東京大学文学部
pp.1064
発行日 1988年11月1日
Published Date 1988/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922124
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今日の医療界は大きな変動期にあると言える.新技術の開発・普及にともなう社会・倫理へのインパクト,疾病構造の変化と高齢化社会への推移等々,もはや医療関係者のみでは対処できないような複雑さと社会・文化に深く関わる位相を持っている.そこで,こうした課題に人文科学や社会科学との学際的な手法を用いてアプローチする学問分野をひっくるめてMETA—MEDICA(メタメディカ)と呼ぶことを提唱したい.
METAMEDICAとは,いうまでもなくMETAPHYSICAをもじった言葉である.『形而上学』と訳されるアリストテレスのこの書が,自然学(PHYSICA)関係の諸巻の次の(META)諸巻という意味で名付けられたことは,哲学史の解説書によく言われるところである.したがってMETAの原義は,「次の」とか「後の」という意である.しかし,単に書物編纂上の順序や学問追求の過程の序列にとどまらず,時代とともにMETAの意味が転じて,自然的・感覚的事物の「背後」「奥底」にあるもの,あるいは自然界・感覚界を「超越」したものに関する学問,さらには諸科学の基礎理論としての科学基礎論を指す語として用いられるに到ったとされる.
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