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院内急変対応システムRapid Response System(RRS)は,患者の急変もしくはその徴候に気づくことで起動され,RRSのメンバーが集まり,そこで初期診療が行われる。
なかでも,医師主導で専門的な治療もできるチームをMedical Emergency Team(MET)という。METによる初期診療の結果,患者の容態が依然不安定で,さらに集中治療が必要となれば,集中治療室(ICU)に収容される。
この一連の流れのなかで,METメンバーが直面する問題は,目の前の急変患者に集中治療が必要かどうかの判断であろう。重症の急変患者に一般病棟で濃厚な治療を継続するのは危険である。しかも,明らかに集中治療が必要な症例や,酸素投与程度で容態が安定化する症例などの,容易に判断できる症例は少なく,判断に迷うことが多い。
一般的に,ICUへの収容基準が低ければ,軽症例でICUが満床になる危険がある。反対に,収容基準が高いと,せっかく早期に患者の異常を見つけても,一般病棟の不十分な環境で診療を継続することによって,容態悪化や心停止に陥る危険性を高めてしまう。また,METが患者をICUに収容すると決定しても,搬送中に患者の容態が悪化する可能性もあり,収容時には心停止となってしまっては意味がない。
このようにMETメンバーは,簡単な介入で対応可能か集中治療が必要かの判断と,ICUへどのように搬送するのかという患者管理が要求される。これらをクリアしてICUに患者を収容し,集中治療医に容態を伝達してようやくMETの役割が終わる。
本稿では,RRSのなかでも,METにおけるICUへの収容判断と搬送の二つのポイントについて概説する。
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