ほんやく
—AMERICAN JOURNAL OF NURSING VOL. 70. NO. 7—胃潰瘍患者の看護
バーバラ・キブン
1
,
サンドラ・シモンズ
1
,
藤本 佳代子
1
1高階心臓病クリニック
pp.86-90
発行日 1971年5月1日
Published Date 1971/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916031
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Mr. C-64歳の労働者が,家で吐血をしたために,救急車で私たちの救急室に運ばれて来ました。吐血の始まった時刻や,疼痛,食事,最近の腹部の変化,睡眠状態などについてのナースの質問に対して,彼はおもに,最近になって腹部不快感と嘔気があることを訴えておりました。このような漠然とした訴えは,診断にはあまり助けにはなりません。なぜなら,疼痛,嘔気,嘔吐,それに下血などは,多くの胃腸疾患にみられるものだからです。
この時のMr. Cの脈拍は140,不整で微弱,血圧は90/60,そして皮膚は冷たくてしっとりしておりました。呼吸は浅くて速く,多分これは出血で酸素の循環が減少したためであります。それに彼はかなり不安状態でした。リンガー液1000mlの点滴が開始され,Mr. Cの全身状態は15分ごとにチェックされました。ナースが質問を続けたので,Mr. Cは症状についてもっと明確に答えるようになりました。彼の話によりますと,食後約1時間頃に左上腹部に疼痛を覚え,最近はその痛みのために,夜中も目を覚ますようになりました。この疼痛は過去にも周期的にあったそうですが,最近はその頻度が増えてきました。入院の前日,彼は下血に気づきました。このような病歴と現在の症状により,「出血性胃潰瘍」の仮診断をつけることができます。
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