増大特集 細胞表面受容体
●構造的特徴:1回膜貫通型◆受容体の遺伝子:MET
Met/HGF受容体の制御
酒井 克也
1
,
松本 邦夫
1
Sakai Katsuya
1
,
Matsumoto Kunio
1
1金沢大学がん研究所 腫瘍動態制御研究分野
pp.496-497
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101533
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●Met受容体を介したシグナル伝達の生理機能
Met受容体はチロシンキナーゼをシグナル発信器とする細胞膜貫通型受容体であり,肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor;HGF)をリガンド分子とする受容体である(図1A)。HGFとMet受容体の関係は1:1であり,HGFには受容体を共有するファミリー分子がない。Met受容体の遺伝子欠損マウスの解析から,発生過程において,HGF-Met系シグナルは肝臓,胎盤の形成・成長に必須であることが明らかにされている。また,組織選択的Met欠損マウスの解析から,HGF-Met系はとりわけ肝臓,腎臓,表皮の再生・修復に必須であることが明らかにされている。一方,HGF-Met系を介した生物活性の特徴として,腎尿細管細胞や乳腺上皮細胞に代表される上皮細胞の3-D管腔形成の誘導といったダイナミックな細胞運動や形態形成の誘導が挙げられる。また,強力な細胞死阻止・生存促進活性を持っており,その活性は他の増殖因子と比較しても強力である。これらMet受容体の活性化が,HGF-Met系に特徴的な生物活性につながる生化学的理由として,Gab-1アダプタータンパク質がMet受容体と選択的に強い相互作用をすることが挙げられる(図1A)。
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