特集 医療過誤・看護事故から学ぶ
医療被害の背後にあるもの
加藤 良夫
pp.669-673
発行日 1988年7月1日
Published Date 1988/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922033
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はじめに
私は専ら患者側の立場から医療被害者の相談活動をしたり,医療過誤訴訟を担当したりしてきた*1.特に1977年に「医療事故相談センター」を開設して以降,センターには400件を越える相談が寄せられており,改めて医療事故の問題の根深さと広がりを感じさせられている.
言うまでもなく現代の医療は,多くの恵沢をもたらすとともに,侵襲性も有している.人の営みである以上,常に完全とはいかない.しかし,医療によって尊い生命や健康を失うことは,まことに残念なことである.医療事故を分析し,その原因や背景に迫り,教訓を引き出し,改善し,診療レベルを引き上げて,同種事故の再発防止を図っていくことが大切である.
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