連載 COLOR ATLAS—徴候から理解する脳のしくみと働き・16
脳神経障害[1]—嗅覚脱失,視野狭窄
馬場 元毅
1
1東京労災病院第2脳神経外科
pp.628-631
発行日 1988年7月1日
Published Date 1988/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922024
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今月から,意を新たに,脳神経について学ぼうと思います.脳神経というと中枢神経と同じ意味だと思っている方がいますが,これは間違いです.脳神経とは,これまで学んできた手足の運動や知覚を司っている脊髄神経に対し,主に頭部や顔面の運動・知覚を司る神経で,直接脳組織から神経線維を出しているものを指します.
脳神経はしくみの上からは,①嗅神経,②視神経,③動眼神経,④滑車神経,⑤三叉神経,⑥外転神経,⑦顔面神経,⑧聴神経,⑨舌咽神経,⑩迷走神経,⑪副神経,⑫舌下神経と,左右12対の神経から構成されているのですが,働きの面からみると,眼球,顔面,咽喉頭などの運動機能に関係するものと,一般的な顔面,咽喉頭の知覚に関係するもの,嗅覚,視覚,味覚,聴覚など特殊体性知覚と呼ばれる知覚に関係するもの,および自律神経に関係するものの4群に分けられます.これらの脳神経のしくみと働きの概要を図1にまとめてみました.
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