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嗅覚に関する研究—第7報 所謂嗅覚脱失者の治療について 特にイオントフオレーゼの使用経験
市原 正雄
1
,
横川 礼二郎
1
,
宮尾 赳
1
,
小松 晃
1
,
神尾 鋭
1
,
白倉 賢三
1
,
渡辺 一夫
1
,
佐久間 義房
1
,
関 重博
1
,
小林 知子
1
1昭和医科大学耳鼻咽喉科教室
pp.231-233
発行日 1960年3月20日
Published Date 1960/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202410
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I.緒言
所謂嗅覚脱失者と呼ばれるものには中枢性の嗅覚脱失と末梢性嗅覚脱失とがある。前者は嗅神経幹又は嗅神経系の侵されたもので,後者は呼吸性のもの,症候性のもの,官能性のものが含まれている。こうした分類も諸家に依り異り,治療も様様である。然し実際には中枢性嗅覚脱失は臨床上遭遇する事は極めて稀で,末梢性嗅覚脱失の治療が問題である。即ち呼吸性,症候性のものでは手術が必要となり,一方官能性のものでは精神科的治療が必要である。薬物療法としては古くからピロカルピン軟膏等が奨用されているが何れも適切な効果を期待出来ない状態である。然るに近時電気治療が吾科領域にも応用されているが,耳癤或は副鼻腔炎等に対してイオントフオレーゼを使用し有効であるとの報告がある。今回吾々は所謂嗅覚脱失者と思われる症例にイナントフオレーゼを使用した症例の中,5例を選び其の効果を観察,考察を加えたのでここに報告する。
Iontophoresis therapy was instituted on 5 patients affected wi th anosmia : recovery was seen in 4 cases. The authors believe that, by this therapy the obstructions in the superior nasal cavity becomes relieved through ionization and stimulation of the sympathetic nerves.
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