今月の臨床 サイトカインと産婦人科
サイトカインの生物学
2.サイトカインの作用メカニズムと新しいサイトカイン
大本 安一
1
1大塚製薬(株)細胞工学研究所
pp.1020-1023
発行日 1998年8月10日
Published Date 1998/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903359
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サイトカインの作用メカニズム
サイトカインの作用メカニズムは標的細胞上のレセプターを介して伝達される.したがってサイトカインの多彩な作用は,種々の機能を持ついろいろな分化段階の細胞のレセプターに結合することから始まる.サイトカインレセプターは,構造によっていろいろなファミリーに分類されている(表1).次に,サイトカインはレセプターと結合してシグナルが伝達される.そのシグナル伝達経路は,JAK/STAT(Signal Transducers andActivators of Transcription)系1),Ras/MAP(Mitogen-Activated Protein)キナーゼ系2)とイノシトールリン脂質系3)の三つが明らかになっている(図1).
1)JAK/STAT系はインターフェロンで研究がなされ,レセプターに結合するとJAKチロシンキナーゼが細胞質内の転写因子STATのチロシンリン酸化を誘導する.リン酸化されたSTATはホモあるいはヘテロダイマーを形成し,核内に移行し標的になる遺伝子の認識配列に結合して遺伝子発現を誘導する.JAKキナーゼとSTATにはファミリーがあり,それぞれJAK1〜3,Tyk2の4種類とSTAT1〜6の6種類がある.サイトカインによって活性化されるJAK/STATの組み合わせがあることで特異性が説明されている.
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