特集 ターミナルケアはどこまで可能か—さまざまな場での看とり
粥ひとさじ[特別編]—声あげて哭くはナースに適さずと言われてもなお鳴咽止まらず/何ひとつ援助できずに立ちつくすひと死にてゆく孤独なる瞬間
松本 幸恵
,
坪内 尚子
,
加藤 久枝
,
中村 由紀子
pp.1104-1105
発行日 1987年11月1日
Published Date 1987/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921855
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手を出す事も出来ぬまま消え入ってしまった生命の前に、止まらぬ鳴咽で立ちつくす若き看護者……、学生時代の歌であるという。実際看護婦という職業についたなら、死でさえ甘い感傷の対象にはならないのかもしれない。
でも、と私は思うのだ.この涙こそが看護の原点ではないかと。他人の痛みを哀しみを、あたかも自分のものであるかのように思いやれる感受性……ともいえるだろうか。看護婦にはやさしさと共に厳しさも要求されてはいるが、もし慣れから感じる心が麻痺してしまうとしたら、それは寂しく恐ろしい事だ。いつまでも忘れて欲しくない、また忘れたくない精神である。
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