特集 ターミナルケアはどこまで可能か—さまざまな場での看とり
人生を看とる—高齢者コミュニティ「大阪ゆうゆうの里」でのターミナルケア
千葉 秀子
1
,
左巴 いそみ
1
,
高橋 紀代美
1
,
御薗 京子
1
,
嵯峨根 かおる
1
,
早川 富士子
1
,
松田 恵子
1
1大阪ゆうゆうの里診療所
pp.1086-1092
発行日 1987年11月1日
Published Date 1987/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921852
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はじめに
ターミナルケアにおいて,私たち看護婦は疾病の進行を踏まえて終末のプロセスのそれぞれに必要な多面的援助を行ない,最後の時まで患者(入居者)が出来る限り人間らしさを保って生きられるよう配慮すべきだと考えている.
今回紹介するKさんの事例は,当施設「大阪ゆうゆうの里」が開設して初めて私たちが取り組んだターミナルケアの事例である.現在当施設には7人の看護婦が勤務している.経験の差はあるが,いずれも病院看護婦を経て,自分たちが考えている看護を追求できる場として当施設に飛び込んできた看護婦ばかりである.とはいっても病院とは機能,性格を異にする“老人施設”でどのような看護が展開できるのかは全く未知数であった.Kさんに対する看護は,その未知の可能性への私たちの最初のチャレンジだったのである.
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