連載 驚きの「介護民俗学」・9
人生のターミナルケアとしての『思い出の記』
六車 由実
pp.96-102
発行日 2010年12月1日
Published Date 2010/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101733
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広義のターミナルケア
私が老人ホームで働きはじめてから1年半が経った。その短いあいだに既に何人もの利用者さんとの別れを経験した。前日までは元気にデイサービスを利用していたのに翌朝には動脈瘤破裂で急死した方、腎臓を長いあいだ患った末に悪化して亡くなった方、脳梗塞の再発により長期入院の末に再び施設に戻ることなく病院で亡くなった方など、さまざまである。
また、病気の悪化や転倒による骨折などで病院に入院してしまったり、他の施設に入所したりして、施設を去っていった方もいる。あるいは、入院後施設に戻ってきたものの、それまでの状態からずいぶんと変化してしまったというケースもある。
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