特集 ターミナルケアはどこまで可能か—さまざまな場での看とり
在宅か入院か—訪問看護婦のジレンマと,看とりのこころと技術
新津 ふみ子
1
1新宿区立区民健康センター
pp.1093-1096
発行日 1987年11月1日
Published Date 1987/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921853
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「在宅での死はいい」
毎日3,4人の患者さんを訪問し,1か月3,4人の新しい患者さんに出会う──こんな仕事をして13年.ほとんどが老人であるだけに,出会ったその日に間近な死を感じさせる人もいれば,本人,家族の不安は幸いにも杞憂に過ぎず,まだ当分は大丈夫だと思わせられる人もいる.でもみんな死はあまり遠くないところにあることだけは確か.出会う全ての人が在宅で死ねるようにと願い訪問看護を続けている.
在宅での死はいい.死の床に子供たちが集まり,手を握り,頬をさすられて最期の呼吸を終える人.ある家族は,突然の死に慌てふためき,泣きくずれたけど,全てがその人たちらしく,自然で馴染み親しんだ家庭の中に死があった.
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