シネマ解題 映画は楽しい考える糧[12]
「12人の優しい日本人」
浅井 篤
1
1熊本大学大学院医学薬学研究部生命倫理学
pp.513
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101446
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陪審員たちの議論をユーモラスに描く
「第12回」だからというわけではないですが,今回は「12人の優しい日本人」を取り上げました.日本に陪審員制度が導入されたという想定で,集められた12人の一般市民が時には熱く時にはユーモラスに議論を繰り広げ,脱線しながらも評決にたどり着きます.彼らに与えられた使命は,元夫を突き飛ばし事故死させた女性の罪の有無を決めること.
被告は21歳の若く美しい女性.夫に逃げられ,日中はレジ係,夜はクラブでバイトをして5歳の子どもを女手一つで育てています.被害者の元夫は無職で女たらし,疫病神で人間のクズのような男と言及されます.男は被告に復縁を迫り拒絶され,カッとして彼女に掴みかかったところを道路に突き飛ばされて大型トラックにはねられ死亡したという事件でした.陪審員たちは被告の殺意の有無,殺人の計画性,正当防衛の可能性などを検討します.
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