連載 COLOR ATLAS—徴候から理解する脳のしくみと働き・3
脳ヘルニア[1]—脳ヘルニア発生のしくみ
馬場 元毅
1
1東京労災病院第2脳神経外科
pp.524-527
発行日 1987年6月1日
Published Date 1987/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921726
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頭蓋内腔占拠性病変と頭蓋内圧亢進
先月号では意識障害について学びましたが,今月号からしばらく「脳ヘルニア」という病態を通して,意識障害患者の観察の仕方について勉強したいと思います.脳ヘルニアの病態は,脳の構造についての知識を持っていないと理解しにくいと思われますので,今月号ではまず,脳ヘルニア発生のしくみについて述べることにします.
脳は硬い頭蓋骨に囲まれていますね.頭蓋骨の中のスペースを頭蓋内腔といい,この中に脳実質,脳を包む膜(硬膜,クモ膜,軟膜),脳脊髄液,循環している血液などが入っています(図1).これらの構成要素以外のものが頭蓋内腔に出現し増大すると,頭蓋内圧が上昇します.
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