特別論稿
私の体験学習—医師としての患者体験から看護を見直す
日野原 重明
1
1聖路加看護大学
pp.476-481
発行日 1987年5月1日
Published Date 1987/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921715
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はじめに
医師は,患者さんから「先生」と呼ばれる.それは,教壇に立つ教師の通称と同じ表現語である.教師が,学生・生徒よりも一段高い教壇に立ち,花壇に並んでいる植木鉢に上から水を注ぐように,教訓的な講義をする.それをdidactic teachingと呼んでいる.学生と向き合って壇上から教える教師のポーズをそう表現するのである.
壇上から講義するのとは逆に,学生・生徒にテーマを与えて,彼らが自主的に,体験によって学びとる方法がある.そのためには在来の教室を,作業場や生活や仕事の現場といった雰囲気にさせ,先生も,学生・生徒の間に混じって,同じフロアーで学習の援助をする.そのような学習方法を経験学習(experiencial learning)と呼んでいる.
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