連載 高齢化社会の福祉と医療を考える・8
老人は「自立」しなくてはならないのか
木下 康仁
1
1立教大学社会学部
pp.392-395
発行日 1987年4月1日
Published Date 1987/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921695
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老人と呼ばれる人々は「自立」しなくてはならない社会に日本はなり始めているようである.老後の自立とか自立した老人といった言い方は私たちが違和感を持たないほど,既に日常化している.しかも自立という言葉は,老いたる者はかくあるべしという強い規範として使われているのである.自立自助という言葉が,行政が福祉施策を変えていく際の錦の御旗になっている現状を考えれば,このことは容易に理解できるであろう.
どうしてこうなったのだろうか.そもそも私たちは自立という言葉をどういう意味に考えているのか.この言葉が何故老人に対して向けられねばならないのか.老いて生きるということを私たちは一体どう考えているのであろうか.
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