特集 危機状況にある患者の理解と看護の役割
子供の死を宣告された時,母親は……—患者家族に現われた悲嘆反応とその回復過程
渡部 英子
1
,
石川 勝美
1
,
金子 りつ子
1
,
熊谷 久子
1
,
小池 初枝
1
,
佐藤 秀子
1
,
高野 あさ子
1
,
田辺 サナエ
1
,
松本 京子
1
,
和田 真弓
1
,
竹尾 恵子
2
,
南沢 汎美
2
1佐渡総合病院小児科病棟
2東京大学医学部保健学科
pp.1114-1119
発行日 1986年10月1日
Published Date 1986/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921536
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はじめに
最近,ターミナルケアについてはよく論じられている.今回,来院時,溺水で既に心停止を来していた7歳の男児が,死を宣告されながら39日間闘った.この事例について,母親を中心とした遺族の情緒的反応を観察し,悲嘆のプロセスを検討した.
アルフオンス・デーケンは,“生と死を考える”1)の中で,悲嘆のプロセスに12の階段があると指摘している(表).本事例をこのような観点から考察するならば,この母親の反応は,愛する者の喪失に耐え,現実に対する健全な適応力を回復しようとする自然な反応であるといえよう.
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