文献の紹介と考察
よちよち歩きを始めた子供の母親との分離不安
伊津 フサ子
1
,
植山 むね子
2
,
鈴木 久子
3
1国立東京第一病院脳神経外科病棟
2順天堂医院消化器内科
3順天堂医院小児科外来
pp.337-342
発行日 1974年3月1日
Published Date 1974/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916972
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ローズの来院
上口唇裂の治療で入院して来たローズは,ブロンドの巻き毛の愛くるしい子供であった.彼女は細心の注意と愛情を注いでくれている母親から今まで離れたことがなかった.障害があるにもかかわらず,彼女は正常に成長していたし,両親は意識して,彼女に言葉をかけ励ましていた.彼女の排尿訓練はうまくいっていたし,よく話をし,遊び回り,好奇心に富んでいた.ローズを保護するために,両親は彼女と同年代の子供たちと遊ばせなかった.
母親にはローズを病院に連れてくることに複雑な気持ちをいだいていた.彼女は奇形を治してもらいたいと望んでいたが,どんなりっぱな権威者が子供についていても,子供を自分から離したくはなかった.約束の日にローズは母親と来院した.2人に厳しい試練が待っているように思えた.
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