特集 患者にとっての良いナースでありたい
看護婦はまずベッドサイドへ—患者体験を持つ医師の立場から
新村 明
1
1長野県厚生連篠ノ井総合病院
pp.747-751
発行日 1986年7月1日
Published Date 1986/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921457
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従来の“良き”ナース像
大学の教室で研究生活を送っていたころのことである.教授の総回診となると,我々教室員は教授に従って各病棟を回り,教授の一言一言に耳をそばだてて,臨床実践の中で多くを学んできた.その総回診の時,教授の後には必ず婦長がついていて,診察の際には教授の耳元まで聴診器の先を持っていくかのように手をさしのべたのだが,その姿が印象的で,看護婦の医師に対する畏敬の念がその動作にも現われていたのを懐かしく思い出すのである.
当時は大学病院でも一般病院でも,医師の仕事によく協力して手足となって働いてくれる看護婦が良い看護婦であるとされていた.後年病院長に就任してから‘医師にとって良い看護婦とは’というテーマで関連病院長の討論会が催された折にも,ある病院長がそんな教授の姿を思い浮かべたのであろう,前述のように聴診器をそろえて出すような看護婦てそ良い看護婦であると発言したてとを私は今でも奇妙に覚えている.
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