特集 嫌いな患者—内なる苦手意識の克服
なんとなく苦手だった彼女たち—産婦人科病棟での女たちとの出会いから
大沼 れい子
1
1岐阜県立下呂温泉病院産婦人科病棟
pp.147-152
発行日 1986年2月1日
Published Date 1986/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921321
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‘嫌いな患者’というテーマである.副題に‘苦手意識の克服’と付いているから,嫌いな患者=苦手な患者と解釈しても差し支えないのだろう.どんな人をイヤだと感じたか,病院での断片的な出来事や,これまでに私が出会ってきた様々な母親とその子供を思い出してみた.
助産婦になりたての20代前半は,母親の授乳中に新生児が泣いて,そり返り顔を左右に振って,手足をバタバタさせているのを見てもカッカしたのを覚えている.子供の頭を持って,ムキになってなんとか母親の乳頭に吸いつかせようと試みたが,多くは失敗に終わった.しかし最近は,そんな出来事も笑って思い出し,客観的に見つめている白分を感じる.そんなわけで,なぜ苦手だったのかを再考し,その他の‘なんともやりにくい’と感じた患者に関しても,1例1例検討してみたい.
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