特集 嫌いな患者—内なる苦手意識の克服
医は想い,しなやかに,そして少しばかりしたたかに
小笠原 望
1
1高松赤十字病院第1内科
pp.153-159
発行日 1986年2月1日
Published Date 1986/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921322
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秋の1日を,内科外来スタッフと岐阜を旅した.昼食に立ち寄った料理屋の御主人が挨拶にみえて,‘本日はよくお越し下さいました’と型通りの言葉のあと,‘私は長い間,料理を作っていますが,料理をおいしく食べていただくのは,お客様が健康であること,おなかが減っていること,これが第1であります.部屋の造り,道具,料理,すべて〈間〉が大事なのです.無駄がないといけません’との話.高僧の如くの悟りきった風貌と相まって,一同感動しつつ料理を御馳走になった.
そのあと,我々の日ごろの外来は,毎日毎日〈間〉〈無駄〉とは程遠く,慌ただしいだけだなあと苦笑いしつつ話が弾んだ.
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