特集 患者を守る看護の役割を考える
患者の療養上の世話に対する看護者の社会的責任—褥創をめぐる看護婦の責任
松村 悠子
1
,
佐藤 洋子
1
1北海道大学医療技術短期大学部看護学科
pp.42-48
発行日 1986年1月1日
Published Date 1986/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921296
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はじめに
入院してくる患者にとっては,常に必要に応じた看護サービスが行なわれて当たり前のことである.患者が元気に手を振って退院して行く時,その後ろ姿を見ながら‘長い闘病生活を無事乗り切ることができ,本当に良かった’と喜びをかみしめることができる.これが看護婦の行なう看護活動の最終ラウンドの姿である.
医療行為は患者の承諾の上に成立し,更にその前提として医師および看護婦がどのように医療を行なうかの説明が行なわれ,納得した段階で入院・治療にとりかかるはずのものであった.それがいつの間にか,多くの患者の弱い立場からか,‘すべていいようにお任せします’‘よし,任せなさい’と表面的には医療に全面的同意を得たとし,その結果は経過の中で十分な説明がなされず患者はイライラを増す.一方で医療者は‘説明したのに分からないのは理解力が悪いからだ’と患者側に責任のすべてを負わせる状況になっている.
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