CHECK IT UP 日常ケアを見直そう・46
終末期ケア[1]—医療技術の進歩がもたらした現代のカオス
川島 みどり
,
看護ケア再検討グループ
pp.1092-1095
発行日 1985年10月1日
Published Date 1985/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921202
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なぜ終末期ケアなのか
医学の知識も医療技術もかつてない進歩をした結果,今まで絶対に助からないとされていた患者の延命や救命が可能になって,人々の平均寿命も年毎に高くなってきている.しかし,臨床病理学的に見ても,癌の末期に代表されるように,隣接臓器に転移をしたり,浸潤が広がっているような人々の死は,今日の医学の進歩をもってしてもなお,避けることはできない.
技術レベルの相違はあったにしても,昔から終末期ケアはあったのに,なぜ今この問題が大きくクローズアップしてきたのかについては,いろいろな解釈があるように思う.1つには,悪性腫瘍や難病のような現代医学の限界領域の患者の増加とともに,そのことを患者に告知するかどうかの問題とも無関係ではないように思う.第2に,機械的延命の可否をめぐる論議とともに,ホスピスケアという医療のありようが浮上してきた.第3に,施設で死を迎える人々が在宅でのそれより増加してきたこともあるだろう.
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