時評
在宅終末医療が家庭不和をもたらした例
矢島 嶺
1
Takane YAJIMA
1
1武石村診療所
pp.537
発行日 1990年6月1日
Published Date 1990/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900675
- 有料閲覧
- 文献概要
地域に在宅医療を支援するシステムが備わっていないにもかかわらず,在宅医療が強調されすぎている現今である.この背景には老人医療費削減という目的がある.実際は在宅医療システムの整備が遅れているために,老人の「社会的入院」が増大していると考えられる.
終末を控えた老人たちの落ち着く先が定まらず点々と病院を入退院し,最後に,在宅医療ができそうもない我が家に戻ってくる老人が最近は多い.その結果,まず弱い老人自身にしわよせがくる.さらに老人を支えている家族と兄弟,親戚との間に,癒し難い不和をもたらす.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.