ホスピスからのレポート 続・死にゆく人々のケア・8
ホスピス・ケアと信仰—魂のケア
柏木 哲夫
1
1淀川キリスト教病院
pp.922-928
発行日 1985年8月1日
Published Date 1985/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921162
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近代医学は病気の治療技術を著しく発展させた.その反面,治癒不可能な病気をもつ患者をどのようにケアするかという大切な課題を置き去りにしてきた.ここ数年来,日本においてターミナル・ケアの重要性が叫ばれるようになってきたのは,近代医学が置き去りにしてきたことへの反省と考えられる.
ホスピスは‘ターミナル’という特別の時期に患者がもつ様々なニードをチームを組んで満たそうとするものであり,患者を全人的にケアする。したがって,患者の魂の平安については特別に関心を払う.死という現実は絶対に避けることはできないが,信仰をもって死を新しい世界への門出と信じ,平安な生を全うした患者さんに出会うと,ホスピス・ケアにおける魂のケアの重要性を痛感する.ホスピス入院後,信仰をもち,病床洗礼を受けた2人の患者さんの場合を通して,ターミナル・ケアにおける信仰について考えてみたい.
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