癌患者の手記—私は前を向いて歩く たとえ声は奪われても・7
苦難,ふたたび
吉見 之男
pp.826-828
発行日 1985年7月1日
Published Date 1985/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921141
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身をよじられるような激痛が
再発の時にも感じたことだが,病というのは我々が考えるほど単純なものではない.一筋縄ではいかないというのが偽らざる心境である.回復の早さを謳歌し,退院準備を始めたというのに,その翌日から苦難の日日が始まるとは,正に神以外知る由もないことである.
前回食事について触れたのは,それが回復のひとつの目安でもあるからで,食事が充分にとれなくして退院もありえず,勢い目が注がれることになる.何しろ人工食道が充分その機能を果たせるかどうか,ここが一番肝心な所である.
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