連載 道拓かれて—戦後看護史に見る人・技術・制度・4
看護の夜明けか苦難の始まりか—保助看法制定①
川島 みどり
1
1健和会臨床看護学研究所
pp.368-371
発行日 1997年4月1日
Published Date 1997/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905321
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看護婦養成制度の一本化を21世紀初頭に
21世紀初頭をめどに看護婦養成制度を1本化するというニュースは,永年の悲願であった准看護婦養成制度廃止への曙光が見えたとして,ある一部を除き一斉に歓迎の記事が出た.思えば,保助看法制定直後からの懸案であっただけに,法制定以来50年にして漸くの思いが強い.看護職が看護職として働く限り,保助看法に則って業務の範囲が決められ,保助看法によって身分が保障されるのだから.
だが,法律というものは,それがないと社会の秩序が保たれないのだが,問題が生じない限りあまり日常的には話題にされない.看護婦も,新人として入職した時点で,保助看法の内容を解説されても,実際の仕事の場面でそれを意識することはあまりないだろう.事故が起きた場合や,関連職種とのあいだでの業務委譲などを検討する際に,書棚から引っ張り出すことはあっても.かつて,富士見産婦人科事件というのがあったが,その時の処罰の理由が,医師に対しても保助看法違反であったことを不思議に思ったことを思い出す.
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