Japanese
English
研究と報告
退行期におけるうつ病の発病条件としての家族関係
Depressionen im Rückbildungsalter : Familienstand und Entstehung der Depressionen
杉本 直人
1
,
高橋 隆夫
1
Naoto Sugimoto
1
,
Takao Takahashi
1
1岐阜大学医学部神経精神科
1Aus der Neuropsychiatrische Klinik der Universität Gifu
pp.675-681
発行日 1974年7月15日
Published Date 1974/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202206
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
退行期のうつ病の発病には,退行期以降に一般的に認められる家族関係における問題条件が重要な役割を演じている症例を報告し考察した。
家族関係における問題条件として,独身生活,日本の旧家族制度における「家」という考えに基づいた養子縁組における舅・姑と養子との関係,また舅・姑と嫁との関係,さらに日本の旧い家族制度の考えからすれば当然のことと考えられる老年者と若夫婦との同居という諸条件に注目し,これらをうつ病の発病との関連において考察した。 現代の日本における社会・経済的条件(就職,住宅事情)が老年者の孤独な生活や同居生活を規定し,うつ病の発病に関与することを論じた。
家族関係における問題条件は,必ずしもうつ病のみを発病させるだけでなく,幻覚・妄想を中心とした精神異常状態を出現させてもよいはずであるが,何故に本稿での3症例では抑うつ症状を発現せしめ,幻覚・妄想状態を発現せしめなかったかを考察することはできなかった。
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.