特集 リハビリテーションとしてのストーマケア
骨盤内手術患者の性機能障害の頻度とカウンセリング
石井 延久
1
1福島労災病院泌尿器科
pp.898-904
発行日 1984年8月1日
Published Date 1984/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661920846
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
直腸や膀胱は排便や排尿に関与する臓器であることから,その切除手術と同時に人工肛門や回腸導管の造設が必要である.従来,これらの患者にとって最も重要な課題はストーマの管理であったため,日常生活の制限も多く,なかなか社会復帰も思うようにいかなかった.
しかし,最近になってストーマ装具の性能の向上により,その管理技術も著しく容易になり,同時に骨盤内の悪性腫瘍の早期発見と手術治療の進歩により,手術後社会復帰する症例は目立って増加している.一方,骨盤内には男性では前立腺や精嚢などの生殖器と勃起や射精に関与する重要な神経が存在しており,手術時にこれらの神経を損傷する危険は非常に高い.そのため,骨盤内手術後のインポテンスは比較的古い時期より知られているが,我が国では性に対する考え方が閉鎖的で,患者が積極的に医師や看護婦に相談することは極めてまれであった.現在でも,手術を受けた患者は配偶者も含めて,術後の性生活を全くあきらめている症例は多い.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.