特集 乳がんと闘う—治療・再建・看護+ボランティア活動
乳房再建とその意義
酒井 成身
1
1聖マリアンナ医科大学形成外科
pp.754-758
発行日 1984年7月1日
Published Date 1984/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661920816
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
乳房再建の意義
乳房の切断という事態に遭遇して,乳がん患者が味わう苦痛や失望感には計り知れないものがある.がんという疾患の特殊性もさることながら,機能面での障害以上に患者に与えるダメージが大きいのは,この手術が単に身体を侵襲するだけにとどまらず,自己の存在そのものを規定している自己像への侵襲をも意味しているからであろう.ある患者に至っては,もし切断後それを再建してもらえなければ切断は承諾しない,とまで言い切っている.
このような反応は,比較的若い世代層で顕著であるが,欧米では,高齢の患者であっても,再建を希望して来院する例は珍しくない.最近では筆者らの外来でも,50歳代,60歳代の比較的高齢な再建希望者の姿を見かけることができるようになってきた.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.