特集 乳がんと闘う—治療・再建・看護+ボランティア活動
乳がん患者への看護
松本 美由紀
1
1聖路加国際病院外科病棟
pp.760-764
発行日 1984年7月1日
Published Date 1984/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661920817
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はじめに
わが国における乳がんによる死亡は近年,増加傾向にある.その治療の中心は外科的治療であり,乳房切断術を受ける前後に患者が抱く不安や苦悩,術後の身体的・社会的な障害は大きいと思われる.疾病や手術への不安,女性のシンボルとしての乳房を喪失する悲しみ,患側上肢の運動障害など,患者が乗り越えていかなければならない問題は多い.
乳がん手術で一般的に行われているのは定型的乳房切断術であるが,これは皮膚,皮下組織,大小胸筋,腋窩リンパ組織を一括して郭清する方法である.しかし現在,術後侵襲や術後の機能障害を少なくし,美容上の障害を減少させ,なおかつ根治性が定型的乳房切断術に劣らない非定型的乳房切断術(大胸筋を保存し腋窩郭清を行う)が多く取り入れられる傾向にある.
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