バイオエシックス・セミナー・5
共に生きる試み
木村 利人
1
1ジョージタウン大学ケネディ研究所アジア・バイオエシックス研究部
pp.581-584
発行日 1984年5月1日
Published Date 1984/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661920779
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前回までの3回は,主として生命の終わりの問題をめぐって,バイオエシックスの視座から考えてきました.今回からは3回にわたって,私たちの生命の〈質〉をめぐってのバイオエシックスの事例を考えてみたいと思います.
バイオエシックスの‘バイオ’はギリシア語の‘ビオス’に由来し,生命・生活・生涯・生という意味が含まれています.この‘ビオス’をめぐっての考え方の枠組みや基準を,ギリシア語の‘エティコス’という,元来の意味—習慣・習俗(‘倫理’より幅広い)にさかのぼってライフスタイルや私たちの生きていく上での共通理解のもととなる‘公共政策’としてもとらえていこうというのがバイオエシックスなのです.このことについては既にふれたとおりですが,当然,生命の初めから終わりまでの‘生命や生活の質’をめぐっての様々な問題がバイオエシックスにとっての大きな研究テーマになるのはいうまでもありません.
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