特集 思春期の薬物乱用予防—生きる力をやしなう活動を求めて
共に生きることを通して見える予防
和高 優紀
1
1日本ダルク本部
pp.78-81
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902664
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人に話せない未解決の問題を抱え,病的心理を持っていたり,家庭・学校および職場・地域社会から孤立していたり,誰からも,どこからも必要とされていない子どもたちはどうなるでしょう.孤独で,どう生きていけばいいのかわからない状況の中で子どもたちは,心の痛みを感じて,自分自身の人生および,周囲の大人たちに不信感を持ちつづけます.そのため生き延びるために何かを強く求めだします.そこにドラッグが現れ,彼らの未解決の問題や心の痛みなどの現実から逃してくれます.それでなくても子どもたちは好奇心のかたまりです.その子どもたちが心の痛みから解放されるならば,無意識のうちに,それこそ真剣に薬物を使用しつづけるでしょう.どんなに恵まれた環境にいても,本人の心の中に不調和が生じていたなら,感謝の気持ちや,健康的な発想や行いは生まれてきません.いつの日からか子どもたちは自分自身を受け入れられなくなります.どこで何をしていても,つきまとう心の中の不調和が,子どもたちの生活を汚染していきます.そこで薬物などが子どもたちをとりこにしてしまうわけです.子どもたちが薬物を使用しやすい状況は,家族から孤立できる時間とスペース,そして多額のお小遣いを所有できることです.その子坊には家庭の中・学校の中・地域社会の中で孤立しないことがベストだと思います.しかし,大人たちの孤立化の見直しが優先なのかもしれません.
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