特集 訪問看護・2—地域ケアを目指して
[私たちの実践レポート]
末期患者の在宅療養を支える訪問看護—家庭で死を迎えた1事例を通して
吉次 クニ子
1
1堀川病院居宅療養部
pp.1122-1128
発行日 1983年10月1日
Published Date 1983/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919965
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はじめに
近年我が国においてもホスピスの必要性が報告されている.死は人間にとって避けられないことであるが,まだまだ死を避けて通ろうとする風潮がある.特に癌末期患者のケアは困難なことが多く,自宅療養となるケースはまだ少ないが,痛みや悩み,不安などを軽減できれば,癌末期でも在宅での療養は可能であると考えられる.堀川病院では現在7名の癌末期患者が,家族に看守られながら自宅療養生活を続けている.もちろん本人,家族の受け入れ状況などが配慮され,往診や訪問看護を積極的に組み入れている.
ここに紹介する事例は,夫を介護する妻が介護を通して精神的に落ち着いていく様子を目のあたりにして,訪問担当者として改めて夫婦の絆とか家族の愛,また生あるものへのいとおしさなど,たくさんのことを学ぶことができ,それを今後の活動の糧としたいと思ったケースである.
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