特集 家庭で死を迎える
‘家で死にたい’‘家で死なせたい’—治療半ばで退院し,家庭で死を迎えざるをえなかった患者への訪問看護
松沢 和子
1
1横浜市神奈川保健所
pp.616-620
発行日 1979年6月1日
Published Date 1979/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918696
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はじめに
現代の医療は最高のレベルに達していると言われながら,寝たきりの老人に対しての医療機関側の受け入れは十分でなく,入院することはおろか,入院した場合でも治癒の見込みがなかったり,看護に手がかかりすぎると,患者や家族が入院継続を希望しても,退院させられているのをしばしば目にする.このような状況にある患者や家族は,年ごとに増加し,地域で働く看護者の手に委ねられつつある.
また寝たきり老人の医療状況をみると,約3割の入が最初から主治医がなかったり,何年間も投薬だけの闘病生活を送っているものもある.このような状況におかれていることは,患者はもちろんのこと,家族も不安であり,私たち保健婦も医療機関との協力関係の乏しいなかにおいて,援助方針を立てることも困難な状況にある.
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