NURSES' VIEW
‘その人の生き方に添う’ということ
井上 弘子
1
1北海道大学医学部付属病院精神科病棟
pp.985
発行日 1982年9月1日
Published Date 1982/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919650
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人生の縮図ともいわれる精神科病棟に勤務してまる3年が過ぎた.今まで‘人の生き方’ということをあまり考えもせず過ごしてきたが,ここに来てからは,常にそのことで頭がいっぱいになっている.苦しみもがきながら自立していく人に出会った時,私はたまらない感動を覚える.
最近またそんな1人に出会った.Sさん,34歳の女性で,20年間病院との縁が切れず方々を転々と渡り歩いた末,強い医療者不信に陥って入院してきた.疼痛,吐血,下血等を繰り返し,自分の思い通り事が運ばなければ,医療者を罵倒し,ナイフを突き付けたり,自傷行為をする.いわゆる‘手に負えない人’であった.
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