診察で使える!|急性期Point-of-Care超音波ベーシックス・12
心停止の評価
亀田 徹
1
1安曇野赤十字病院救急科
pp.413-417
発行日 2018年3月15日
Published Date 2018/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201422
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はじめに
「4H 4T」のうち心臓超音波で評価可能な病態は?
心停止の初期対応は、すべての医療従事者に求められます。本邦で蘇生行為は、国際蘇生連絡委員会(ILCOR)による推奨に基づき、日本蘇生協議会(JRC)が作成した蘇生ガイドラインに準拠して行われます。2015年に公開されたガイドライン1)では、「心臓超音波検査は、標準的な蘇生を妨害することなく実施可能であれば、可逆性の原因を同定するための追加的診断機器として考慮されうることを提案する(弱い推奨、非常に低いエビデンス)」と述べられており、蘇生時の心臓超音波検査の利用について、一定の評価はされています1)。言い換えると、心臓超音波検査は、二次救命処置において必須の手技とはされていないということです。理由としては、心臓超音波検査を行うことで予後改善を示す質の高いエビデンスがないこと、さまざまな現場で起こる心停止に対して、つねに超音波が施行できるとは限らないことなどが考えられます。実際には心停止の原因が特定されないなかで、蘇生処置が継続されることが少なくありません。
心停止の原因となる可逆的病態として、「4H 4T」が知られています(表1)。そのうち蘇生中に心臓超音波検査で評価が可能な病態として、心タンポナーデと急性肺塞栓症が挙がります。前者では心膜ドレナージ、後者では血栓溶解療法が考慮されます。
本稿では心停止におけるfocused cardiac ultrasound(FoCUS)の役割と可能性について述べたいと思います。
*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2020年2月29日まで)。
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