素手でつかむ看護 心に残るマラウイでの生活・4
麻疹
工藤 芙美子
1
1神奈川県立こども医療センター
pp.469
発行日 1982年4月1日
Published Date 1982/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919536
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6月23日,夕方の勤務が終わろうとする時,最後の巡視をした.3つの病棟を1人で管理しなければならない.麻疹・喉頭炎の5歳の患児が母親の膝に抱かれ,眠れずに丸い目でじっと見ている表情が気になった.脈が触れない.すぐに学生にメディカルアシスタントを家に呼びに行かせた.
マラウイでは医師の資格が取れないため,外国に留学しなければならない.医師の少ない現状に,メディカルアシスタントがドクターと同じ大きな役割を果たしている.学生が‘15分前に見たからもう来ない’という返事をもらって帰ってきた.キョトンとしたかわいい患児を見て学生もピンとこないらしい.‘死んだらどうする!’と怒る言葉に仕方なくまた呼びに行く.しかし‘寒いから’と断わられたと困った顔で帰ってくる.深夜との申し送り中3度目の学生を送ったがダメ.自分で呼びに行くが患児は30分後に死亡した.
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