特集 看護の内なる役割の拡大へ向けて
主体的な看護実践を求めて
稲田 美和
1
1日本赤十字社医療センター脳神経外科病棟
pp.758-762
発行日 1981年7月1日
Published Date 1981/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919283
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はじめに
看護の独自の機能や,看護婦の主体性が叫ばれてから既に久しいが,臨床看護場面において,私たち看護婦はどの程度,看護の独自性を認識して主体的に看護を行っているかを考えると,理想にはほど遠く,まだまだ不十分と言わざるをえない.そしてその理由として,医療の専門分化に伴う特殊な検査・処置の増加,患者の老齢化による看護ニードの増大,人手不足などをあげ,看護婦が増員されればよりよい看護が実践できると主張する人びともいる.確かに,1看護単位の中で一定数の患者の看護を行う場合,必要人員を確保することは当然のことながら大切である.しかし,看護婦の数に比例して看護の質は向上するであろうか.必ずしもそうではないところに,私たち看護婦1人1人の看護にかかわる姿勢が問われているように思えるのである.
数人の患者を受け持ち,患者の個別性を考慮した看護を学んだ看護学生も,看護婦の資格を得て勤務し始めてしばらくは,理想とする看護と現実の看護の姿に矛盾を感じ悩みはするが,いつしかルティーン化された看護業務の流れの中で,歯車の1つになって機械的に業務を処理する存在となり,自ら看護する者としての主体性を放棄してしまうこともまれではない
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