特集 治療の手だてのない患者への援助
主体的に対応できなかった弱さを糧として
稲崎 みどり
1
,
片山 明子
1
1国立岡山病院内科病棟
pp.928-932
発行日 1978年9月1日
Published Date 1978/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918486
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はじめに
目覚ましい現代医療の展開の中で,その流れとともに臨床看護が行われており,私たちはともすれば,患者を忘れがちになりやすく,治療・処置介助の目的達成のために,ただ,バタバタと駆け回り,真に患者の不安・苦痛の状況を理解できた看護をしているかどうか疑問である.
発達したマスコミや患者同士の会話により,自分は癌ではないか,そう長くは生きられないのではないか,といった不安を抱いている患者も少なくない.当内科病棟でも癌患者が約3/4を占めており,そのほとんどが死の転帰をとる.これらの患者は末期になるにしたがい,肉体的な苦痛に苦悩し,精神的にも不安定な状態をたどり,生から死への極限に直面する.
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