脳卒中の病理・9
細菌性心内膜炎の結果として起こる脳疾患
岡崎 春雄
1
1メイヨークリニック病理解剖部
pp.653-656
発行日 1980年6月1日
Published Date 1980/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918984
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
感染性の塞栓による脳疾患
もう10年以上も前のことですが,子供で先天性心臓病,すなわち奇形があって,発熱とともに急性の脳疾患の症状(片麻痺)が出たため脳膿瘍と診断され,緊急開頭手術を受けたところ,脳膿瘍はみつからず死亡した例がありました.これは,剖検して脳を調べたところ,左の中大脳動脈の領域に大きな梗塞を起こしていたものでした.
この場合,その動脈を閉塞したのは感染性の塞栓,すなわち化膿性の細菌を含む血栓が心臓から流れてきたものでした.したがって,〈先天性心疾患で発熱があれば細菌性の心内膜炎と診断する〉という考えそのものは誤っていなかったわけです.ただし,〈細菌性心内膜炎→脳膿瘍〉という直線的診断が比較的容易につけられていることを実感した次第です.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.