特集 患者の死をみまもって
〈死への看護〉考
遠竹 ミエ子
1
1心臓血管研究所病院
pp.253-255
発行日 1980年3月1日
Published Date 1980/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918900
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
‘残された余後をできるだけ安楽に過ごせるよう援助する’──これは,我々看護者が,死が真近に迫りつつあると考えられる患者に対して掲げる看護目標である場合が多い.私自身,その目標になんら疑問を持たず肯定し看護していた時期がある.そこには患者の生に対しての望みは薄く,私の中にばく然とではあるが‘死への看護’があったように思う.
医学の進歩とともに,不治の病とされる疾患も適切な治療により,かなりの延命効果をあげている.しかし患者のほとんどは,闘病の後に死を迎える.自分の死を知り,生きることにすっかり意欲を失っている人が存在したとして,その人へ‘死への看護’があっていいものだろうか.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.