ホスピス イギリスの末期医療の現場報告・1
D. H. サマーズとの対話[1]—ホスピスの成り立ちとスタッフの役割
柏木 哲夫
1,2
,
D. H. Summers
3
1淀川キリスト教病院
2大阪大学医学部
3St. Christopher's Hospice
pp.66-71
発行日 1980年1月1日
Published Date 1980/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918863
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インタビューアーからのメッセージ
1979年の夏,私はイギリスとスコットランドのホスピスを5か所視察する機会を与えられた.過去6年間,チームを組んで末期患者のケアに取り組んできた私にとっては,1か月という短い期間ではあったが,ホスピスで実際に働き,在宅ケアを共にし,多くの医師,ナース,ソーシャルワーカー,チャプレン(病院付牧師)やその他ホスピスで働いているスタッフと直接話ができたことは,貴重な体験であった〔私たちの病院で行っている末期患者へのチームアプローチについては,拙著“死にゆく人々のケア──末期患者へのチームアプローチ──”(医学書院)を参照されたい〕.
“ホスピス”については,これまでにもかなりの報道や報告がなされており,私自身もそれらを読み,また視察に行ってきた人々の話を聞いて,私なりのイメージを持っていた.そして直接ホスピスの中で,また在宅ケア(患者の家へ出かけて行ってなされるケア)の中で経験したことは,私の抱いていたイメージよりもはるかにすばらしいものであった.私なりに感じた疑問点はもちろんあるし,イギリスのホスピスをそのままの形で日本に輸入することはできないことだと考えられるが,少なくともホスピスが目指しているケアの精神に私は心を打たれた.
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